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4-⑪会社の資本金を決める

資本金の検討

株式会社の設立には、資本金の払込が必要です。

この払込金は、会社の設立に際して発起人などから出資を受けた金額と、設立後の新株発行によって資本金に組み入れる額などから構成されます。

会社法では、一律に株式会社の最低資本金の規制を撤廃し、資本金が1円でも会社を設立することができるようになりました。

しかし、資本金は会社の信用力を見る1つの重要な指標であり、これが乏しいと「会社の事業資金はあるのか」など取引先を不安にさせてしまう恐れがあります。

対外的な信用面からすると、実際はある程度の資本金が必要になるでしょう。

株式会社が簡単に設立できてしまうことは、株式会社であるということでは信頼されないということになるので、安易に定額の資本金で株式会社を設立することが会社にとってどんな意味を持つのか、じっくり考えて設定をしましょう。

しかし、法人税や法人事業税、住民税、消費税、登録免許税などの税金は、資本金の金額が小さい場合においてメリットを受けることができます。

資本金と税金の関係は下記表を参考にしてください。

節税と対外面とのバランスを考えて、資本金を決めましょう。

金銭以外の出資

株式会社においては、不動産や有価証券、知的財産など、金銭以外の試算を出資することがあります。

これを現物出資といいます。

会社法においても、この現物出資と、発起人が他人との間で契約を結び、会社に事業用の財産を譲り受ける財産引受は、原始定款(会社の設立にあたって作成する定款)で財産の価格や出資者の氏名などを記載することが定められています。

発行可能株式総数の定め方

従来は、株式会社の設立に際して発行する株式の総数である発行可能株式総数を、原始定款に記載しなければなりませんでした。

しかし、会社設立時の出資とは直接関係がないため、会社法では、原始定款に記載をしなくてよいことになりました。

ただ、株式会社の設立のときまでに、発起人全員の同意によって定款を変更し、発行可能株式総数を定めなければなりません。

会社の設立に際して、事前にはこうする株式の総数を発起人で話あう必要があるでしょう。

また、設立時に発行する株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができないとされています。

しかし、株式譲渡制限会社は特例的にこの4分の1の制限を受けません。

会社の今後の成長戦略、資本政策を考えながら、定款に記載する内容を検討しましょう。

資本金と税金の関係

税目 項目 内容 判定
法人税

軽減税率

資本金が1億円以下であれば、800万円以下の所得に対する税率が15%(通常は23.9%)

資本金が小さい方が有利

交際費の損金算入

資本金が1億円以下であれば、800万円を上限として支出額の全額が損金算入可能

寄付金の損金算入枠

資本金と資本積立金の合計額の(2.5/1000)×(1/4)は損金算入可能 資本金が大きい方が有利

その他

少額資産損金算入

貸倒引当金繰入限度額

欠損金繰戻還付など

資本金が小さい方が有利
 
事業税 軽減税率 資本金が1億円以下、かつ所得が一定金額以下の場合は、標準税率(2.7~5.3%)課税
外形標準課税 資本金1億円超の会社は外形標準課税が適用され、資本割が課税される
住民税 均等割 資本金が1000万円以下で従業員が50名以下であれば最低7万円となるが、資本金が大きくなればその資本金に応じて段階的に増額される
法人税割税率 資本金・法人税額が一定額以下の場合は標準税率
消費税 消費税事業者 原則として設立2事業年度は免税
登録免許税 資本金の7/1000が課税