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14.会社の基本種類

法人(会社)とは?

法人と一口に言っても非常に多くの種類が存在し、種類ごとに法律に定められています。

株式会社や合同会社、NPO法人や一般社団法人のように、法人とは法律に則り会社組織で活動する団体のことを言います。

専門的な言葉でいうと、自然人以外で法律によって【人】と認められ、権利能力を認められたものを法人といいます。

一般的に【株式会社◯◯】や【合同会社△△】などのように、【会社】という表記が含まれていますので、◯◯会社とつくものは法人であると考えれば分かりやすくなります。

 

 法人の種類

現在、日本において設立が認められている法人のおおまかな分類は、以下の図のとおりです。

皆さんが多く目にしたり耳にしたりする代表的なものは次の4つです。

・株式会社  ・合同会社  ・特定非営利活動法人(NPO法人) ・一般社団法人

 

起業の際の会社設立はゴールではなく、あくまでスタートです。起業=会社設立ではありません。

個人事業主でも起業はできるので会社を設立するかどうかは専門家に相談のうえ決定して下さい

法人の分類図

社会的な信用度

一般的には、【株式会社】が皆さんにとって一番身近な法人ではないでしょうか。

国内にある法人の中でも圧倒的に数が多いことから、社会的な信用や知名度は法人の中で一番です。

様々な法人の中で、株式会社という時点で他の種類の会社に比べて一定の信用を得られやすいと言えるかもしれません。

 

 株式会社は誰のもの

多くの方が勘違いされていますが、株式会社は代表取締役の所有でも、従業員の所有でもありません。

株式会社は、株主がその会社の所有者(オーナー)であり、その利益は株主に分配されます。

株主は原則として細かな経営については参加せずに、代表取締役や取締役などの経営者へ権限を委ねています。これは株主が多い大企業に広く見られる形態で、会社の経営に関しては株主の個性や関与を薄めるためと言えるでしょう。

ただし、日本の株式会社の90%以上を占める中小の株式会社は「株主=取締役」という形態が一般的であり、必ずしも所有と経営の分離がされているわけではありません。

とは言え、「株式会社の所有者=株主」ということは、考え方の基本であることを忘れてはいけません。

 

 合同会社とは

200651日に施行された「会社法」によって定められた比較的新しい法人の種類です。

まだ馴染みは薄いかもしれませんが、実態は比較的小規模な株式会社とほとんど違いはありません。

近年では、合同会社の設立件数もかなり増加していて、その理由は

①株式会社と比べて設立費用が安いこと

②柔軟な機関設計が可能

というような理由があげられます。

 

株式会社との違い 

会社設立の相談で多く聞かれるのが「合同会社と株式会社の違いは?」というものです。

端的に言うと①社会的な信用度、②設立時の費用が大きな違いです。

司法書士への支払う報酬とは別に、合同会社と株式会社では国に納める登録免許税だけで最低9万円の差があります。

この点で合同会社の方が株式会社より設立しやすいと言えますが、金融機関からの借入の審査などでは、合同会社は株式会社よりも信用度が低いという情報もあるので、何を優先して会社を設立するのか、よく検討することが重要です。

 

一般社団法人とは 

2008121日から施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、営利を目的としない団体については、事業の公益性の有無に関わらず、登記のみによって一般社団法人・一般財団法人という法人格を取得することができるようになりました。

 

非営利法人とは

一般社団法人の大原則として、営利を目的としない団体であることがあげられます。

これは、利益を上げないという意味ではなく、余剰利益を法人の構成員で分配をしないという意味です。

役員報酬や給与を支払うことは、利益配当には該当しませんので問題なくできます。

 

許認可は不要

一般社団法人の設立には、諸官庁の許認可は必要ありません。

株式会社と同様、定款について公証役場で認証を受け、法務局への登記申請・完了により設立することができます。

 

活動内容の制限はなし

後術するNPO法人はその活動内容について様々な制限(規定)がありますが、一般社団法人にはその活動内容に制限はありません。

利益を追求する私益事業やある一定の範囲の者ものみの利益を追求する共益事業を行うことも可能です。

 

NPO法人とは

NPO法人の正式名称は「特定非営利活動法人」と言います。

NPO法人の活動内容は、特定非営利活動促進法に定められた20の分野に制限されています。

 

設立時の制限・手間

設立にはかなり多くの制限があります。

例えば、

①特定非営利活動を行なうことを主たる目的とした団体であること

②営利を目的としないこと

 団体の構成員に利益を分配することはできません

③社員の資格の得喪に関して不当な条件を付さないこと

④役員の内報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること

⑤宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと

⑥特定の公職者または政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと

⑦暴力団でないこと。また、暴力団または暴力団員の統制の下にある団体でないこと

などがあります。その他、設立までに約半年を要するなど、設立するのに手間と時間がかかる法人と言えるでしょう。

会社の基本事項を決める

 

 商号(会社名)を決定する                        

同一所在地に同一の商号の会社は設立 をすることができません。また、有名な企業と同じ会社名にすると大手企業よりクレームが入る可能性があります。

 事業目的を決める

会社を設立するにあたり、現状で行なうべき事業、今後やりたい事業など、将来的な展望も視野に入れて目的を固めておくことが必要です。一方、あまり多くの事業目的を定めてしまうと何の会社かがわからなくので注意が必要です。 

 本店所在地

 会社の所在地(住所)をどこにするか決定します。
定款に定める本店所在地は、最小行政区画(◯◯市、◯◯区)まで表示すれば足ります。

 資本金の額

現在は資本金1円からでも株式会社を設立することができます。しかし、事業内容や規模により相応の資本金を用意することが望ましいです。ここ最近では資本金100万円から300万円程度で設立をされる方が多いです。なお、資本金を1000万円以上にする場合などは消費税や法人税等に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。 

 

定款の記載事項を確認する 

定款とは法人の商号・場所・目的などの基本的なものを定めたものであり、紙媒体や電子媒体に記録したものです。

定款には、

・定めなければ定款自体が無効となってしまう絶対的記載事項

・定款に定めなくても定款自体の効力には影響がないが定款でさだめておかなければその効力を有しない相対的記載事項

・会社法の規定や公序良俗に反しない限り定めることができる任意的記載事項

3つがあります。

 

定款作成の注意事項

定款を作成する際には、最低でも次の事項を定める必要があります。

・商号:会社の名前

・目的:何を行なう会社かを決めます。

・本店所在地:本社の住所を定めます。

・公告方法:どうやって情報を開示するかを決めます。

・資本金:出資者が会社に払い込む金員です。

・発行可能株式総数:発行できる株式の数を決めます。

・役員の人数や任期:取締役の人数や契約期間を定めます。

 

上記7つを決めるにあたっては様々な注意点がありますが、そのすべてを起業家が正しく理解して実行するのは難しく、時間もかかりますので司法書士などの専門家に任せられる部分は任せ、事業を軌道にのせることに時間を使うことをお勧めします。

 

絶対的記載事項

・商号
・目的
・本店所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(資本金)
・発起人の氏名(名称)及び住所
・発行可能株式総数(会社が発行できる株式の上限)
発行可能株式総数については定款認証時に定めていない場合には、設立登記申請までに定款変更をして定める必要があります。

 相対的記載事項

・会社の期間に関する定め
 (取締役会・委員会等)
・ 株券を発行する定め
・金銭以外の現物でする出資
・発起人の財産の引受
・種類株式に関する事項
など

 任意的記載事項

・株主総会の招集方法
・配当金の支払いに関する事項
・役員報酬に関する事項
・営業年度
など

 

定款認証とは 

株式会社の定款は、発起人による作成後、公証人に定款を認めてもらう手続きが必要になります。これを定款認証といいます。

会社の定款認証を行なう際にはその管轄が定められており、設立しようとする会社の本店所在地を管轄する法務局(地方法務局)に所属している公証人が行います。

 

法務局への設立登記申請は司法書士 

設立登記申請とは、管轄の法務局へ会社設立の登記申請を行なうことを言います。

いくつかの申請書類を作成する必要がありますので、登記に関する申請書の作成については司法書士にご依頼ください。

法務局へ提出する書類の作成を代理できるのは司法書士(弁護士も可)だけです。

 

会社設立登記の完了

管轄法務局へ登記申請を行なうと、およそ7日から10日で登記が完了します。

会社設立登記が完了すると、俗に言う登記簿謄本(登記事項証明書)の取得が可能になります。

登記簿謄本は、税務署関係の各種届出や銀行口座の開設に必要です。

登記完了後に23通取得しておくことをおすすめします。

なお、会社設立日は申請書類を法務局へ提出した日になります。

例えば、101日に法務局へ申請書類を提出した場合、101日が会社設立日となり、107日~10日頃に登記が完了し、還付書類がお手元に届くものとお考え下さい。

 

15.会社設立伴う従業員の雇用

 

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